ネット印刷への入稿(完結)
前回、久しぶりの投稿でネットの印刷会社への入稿依頼で、イラストレーターを使用したやり方を書きました。今回はその続きで「PDF形式への保存」です。
細かい説明を見なくても、矢印の部分を実行していけばスムーズにいけます!
アートボード→ 一回り大きなものに変更
デザインデータがA4なら、B4へ。B4ならA3に変更しましょう。この処理はデータ処理のどの段階でも構いません。私は、古い紙の方の人間なので、A・B版のトンボ(トリムマーク)付きの台紙データを予め作ってあります。これにはガイドはもちろん、アードボードも既に大きめに作った状態です。なのでこの作業は実はしていません(笑)
アートボードの内側領域だけが印刷対象なので、トンボや塗りたしなどが(裁ち落とし・ブリードとも言います)がアートボードより外側だとまったく印刷されません。もちろん印刷の目印になるトンボもです。
▲ビンクの部分は印刷されません。
用紙のフチ、ちょっと白くなっていますよね。ズレて印刷されるとこんなイメージです!
こうなるとほとんどの場合、「印刷できません〜」と、データを返されてしまいます。もしくは、そのまま印刷されてしまい、紙と印刷面がずれて、はみ出てカッコ悪い仕上がりになってしまいます。
また、紙のサイズぎりぎりに文字を入力したりすると、仕上げで(ほぼ確実に)切られてしまいます。
ドキュメント情報で確認→ほとんどの項目で「なし」を確認する
ドキュメント情報パネルでサブメニューで「すべてを選択」したあと(もちろんレイヤーやオブジェクトのロックははずしてくださいね)「オブジェクト」を選んで全選択すると、各種データの情報が見られます。
▲不要な項目で「なし」を目指しましょう
確認ポイントは、文字がアウトライン化されているか、RGBデータが無いか、写真は埋め込み処理になっているか、などです。ほとんどの項目で「なし」になっているか確認しましょう。ただし、オブジェクト内に文字をフィットさせる「エンベロープ」機能はチェックから漏れる場合が多いので注意です。
あとはPDFで別名または複製保存→「PDF-1a」か「プレス品質」が基準
PDF形式で保存していきます。まずPDF保存オプションで「PDF-1a」か「プレス品質」のどちらかを選択します。各ネット印刷の会社の説明に近い方を選んでください。これらを基準にネット印刷の説明に合わせて、こまかいオプションを変更していきます。
▲たくさんあって迷いますが「PDF-1a」か「プレス品質」です!新聞用はまたの機会に
注意すべきは「解像度」「カラー設定」です。こちらも各ネット印刷の説明どおりに数値を入力しましょう。特に解像度は高すぎても印刷の品質はさほど上がりません。また、カラー設定はプリセットの埋込はしないでと求められることが多いです。このあたりの細かい項目は慣れてから印刷所と相談して決めましょう。
▲解像度の設定。私の場合は利用するサイトにより「300」か「350」です。
自分でデータを作る場合は、画像はセオリー通りのサイズと解像度(紙面で使用するほぼ原寸・350ppiなど)で作ります。
他社の入稿物の場合、とてつもなく大きくて高い解像度を使用していることもしばしば。なので解像度を適切に下げる場合は、ぴったり300ppiにしてしまいます。
▲プロファイルの埋め込みは、画像データも含めてすべて理解していないと、トラブルの原因になります。埋め込みはやめましょう
最後に、設定を変更したこのPDF保存オプションをプリセットとして保存しておきましょう。
ちなみに
「PDF-1a」や「プレス品質」で保存しておけばきちんと印刷できる、とりあえず安心なフォーマットです。特に印刷所がどのようなところかわからない、決まっていない場合には、こちらを選びましょう。
結論…PDFならでのメリット
ネット印刷のサイトでデータをアップロードする、PDFならでのメリット
PDFでネット印刷への依頼でメリットがいくつかあります。
●画像の添付忘れが無い
PDFとして1ファイルにすべて含むので便利。アップし忘れも無し。
●ネット印刷のサイトでサーバ側でデータチェックできる
PDF入稿を受け付けている会社は、ブラウザからアップロードしたらサーバ側で、データチェックまでやってくれるところも多い。その場で入稿受付が終了するので納期の短縮につながる。
●ファイルの容量が軽いのでアップロードが秒で終わる
数Mbに収まるので時間を気にしなくて大丈夫!
他には、一度実行して慣れるとPDF書き出しの手順をルーチン化しやすく、急いでいても間違いがない・印刷データの管理がラクなどなどメリットがあります。
デメリットとしては……印刷会社によって仕上がりが悪いことが、ときどきある・いまだにPDF入稿がダメな会社があるなど
私の知り合いにも、「PDFで入稿するのが不安」「PDFがよくわからない」というディレクターやデザイナーがいますが、PDFによる印刷はもう、そろそろ10年になるので制作側・印刷側ともにメリットのほうが大きいかと思います。ぜひチャレンジしてほしい方法です。